直接会うことに加え、電話、メール、オンラインミーティングツール、そしてSNSと様々なコミュニケーション手段がある中で、「うまく相手の気持ちを汲む」ことは、スムーズなコミュニケーションへの大きなカギになります。 その「相手の気持ちを汲む=相手の本音を引き出す」ことについて、3回にわたって中西真人先生に教えていただきました!第1回 本当の気持ちが知りたい最近は職場の飲み会って、減ってますよね?在宅勤務も増えていますし。コロナ前までは、わりと居酒屋で宴会をやってる職場の人達を見かけたように思います。もう死語だけど「飲みにケーション」とか言って、仕事帰りに上司に誘われるなんてことが私にもありました。あれ苦手だったな~(笑)。昔はどこからそんな発想が湧いてくるのかと不思議だったけど、上司の目線で考えてみると部下たちが何を考えてるのかわからなくて不安だったんでしょうね。別に何も考えてなかったけど!(笑)でも確かに相手が何を考えてるのかわからないって、不安ですよね。仕事でも相手がフンフン聞いてるから分かってくれてるのかと思ってたら、実はわかったふりして聞いてなかったり。本当は「そんなことは知ってるよ」と思っているのか、「急いでるんだから早く結論だけ言って」と思っているのかわかりません。それがわかれば、こちらの言い方も変わってくるんですけどね。「本当の気持ち」って、なかなかわかりずらいもの。例えば、何となく今日はパンケーキが食べたいな~と思う時。それはその時そんな気分だったというだけの話なんだけど、その気持ちをちょっと掘り下げて考えてみたらどうなるでしょう?それは単にお腹が空いているのとは、どこか違う気分。だってお腹が空いてるだけなら、ハンバーガーでもいいんだから。じゃあ、なぜパンケーキなのでしょう?そうだ、昨日テレビで美味しいパンケーキのお店を特集してたからだ。そして、それを誰かに伝えたいからパンケーキを食べたいんだ。そんなときもあるかもしれません。もしかしたら、最近入院した母親のことが気になっていて、子どもの頃母が作ってくれたパンケーキを思い出したからかも知れない。そんな風に考えていくと、案外自分の本当の気持ちも知らずに生きてるんですよね、私たち。パンケーキを食べたい気持ちの陰に「友達と話がしたい」「母親に会いたい」気持ちが隠れているかもしれないということなんだから。そうした「本当の気持ち」に気づかないのも無理もありません。だって気づかなくても生きていけるから。それに、さっきの例なら難しく考えなくても、とりあえず美味しいパンケーキを食べて、ちょっと笑顔になれてしまうから。でも、今日は会社行きたくないなあ、なんて気持ちは放っておいたら大変!ストレスを抱えて、うつ病になっちゃうかも。そんなときの本当の気持ちは「会社が遠くて通勤が嫌」なのかもしれないし、「上司がいけ好かない奴で不快」なのかもしれない。前の理由なら引っ越す手があるし、後の理由なら転職する手があるよね。でも「本当の気持ち」が分からないと、適切な手は打てません。上司が嫌いなら引っ越しても解決しないし。そんな時には自分の気持ちを知ることが大切なんだけど、それは意外に簡単じゃない。だから世の中にはカウンセラーとか臨床心理士なんて仕事があるのでしょう。そんなわけだから、ときには立ち止まって自分の「本当の気持ち」を探ってみることには、大きな価値があるのです。じゃあ、どうしたら「本当の気持ち」に近づけるんだろう?一般的にはどんなことが言われているのか、chatGPTに質問してみました。回答(太字)に注釈を加えながら紹介してみますね。本当の気持ちに近づく方法は、自己探求と自己認識のプロセスを通じてやってきます。まず、自分自身と対話し、自分の感情や思考をよく観察することが重要です。そのためには、以下のような方法が役立ちます:1. マインドフルネス(mindfulness)の実践: 瞑想や深い呼吸を通じて、今現在の状況に集中することで、自分の感情や心の動きをより明確に捉えることができます。少し自分と向き合う時間を創ろうってことだね。2.感情日記をつける: 毎日の感情や出来事を記録することで、自分自身の感情のパターンやトリガーを理解しやすくなります。文字にすると良いってことだね。確かに私もブログを書いてるとすっきりすることがあります。3. 自己分析: 自分の価値観や信念、過去の経験などを振り返り、どのような状況や人と接することが自分にとって意味のあるものなのかを理解します。仕事ではなく昔の友だちとか趣味の仲間と一緒にいると「あ、自分てこういう感じなんだ」と発見できることがあるよね。4. 他者とのコミュニケーション: 自分の気持ちや考えを他者とシェアすることで、自分の感情や考えを整理し、より深く理解することができます。親しい友達と食事したりして本音で話せれば、まさに本音を自分で語っちゃうでしょ。5. 専門家との相談: 心理カウンセラーやセラピストとのセッションを通じて、自分自身を理解し、気持ちに向き合う手助けを受けることも有効です。良し悪しは別にして、chatGPTに「このような態度はどんな気持ちから出るの?」と聞いてみるのもいいかも。案外ドキッとすること言ってくれる。(占いみたいだけど)これらの方法を組み合わせて、自分自身の内面に対する理解を深めることができます。しかし、このプロセスは継続的であり、一度で完了するものではないことを覚えておいてください。「継続する」これも大事なことですね。一度ではなかなか本音にたどり着けない。それだけ人の本音は深いところにあるということなのですね。さて今回は「本当の気持ち」に気づくことの意味や難しさについて書いてみました。うなずいてもらえたでしょうか?もし「うんうん」「確かに」と思ってもらえたら嬉しい限り。次回は他人の本当の気持ちに近づく方法を考えてみたいと思うのでお楽しみに!文:中西真人氏(M&R Consulting代表)1960年生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。 自動車メーカー、流通業、外資系コンサルティング会社を経て、1996年にM&R CONSULTING代表として独立。独立後は、顧客企業の課題の発見から解決までのプロセスを顧客と共有しながら進めるサービスが好評で、様々な業界の大手企業を顧客に持ち、信頼も厚い。また講演・研修では、「なるほど」とうなずける裏付けのある内容と論理的な解説あり、工夫されたワークにより、明日から即実戦に活かせると評判も高い。JASPAでは、トレーニング動画「タイムマネジメントー自分時間の創り方ー」で講師も務めている。<主な著書>『実務で役立つプロジェクトファシリテー ション』 (翔泳社)『プロジェクト・マネジメント』 (かんき出版/共著)『思いどおりにお仕事を進める対人関係トレーニング』 (かんき出版)