販売員を支える人たちシリーズ木下 衣里子さん株式会社天満屋 コーポレート部門人事TM 教育担当課長木下衣里子さんプロフィール入社後、天満屋岡山本店にて婦人服TM担当後、出向でグループ企業の学習塾にて、校舎運営、生徒指導、生徒募集などを通じ、経営と人材育成に関する業務を中心に教育分野に携わる。 その後、天満屋本社 コーポレート部門にて、人事、広報を担当。天満屋 女子陸上競技部の副事務局長も兼務。 2018年より現職。階層別・選抜型研修や全社教育施策の企画・運営等を担当。 国家資格 キャリアコンサルタント、国家資格 接客販売技能士2級(レディスファッション作業)、サービスケアアテンダントなどの資格も取得し、幅広い分野で活躍中。場所は変わっても、“人の悩みを聞いて提案すること”は同じ婦人服の販売員として、6年半仕事をした後、新規事業としてグループ会社の学習塾へ異動になりました。異動になったのも、通常の異動とは異なる時期でしたし驚きましたが、販売と何が通じるのかはわからないけれど前向きに頑張ろうと思いました。 学習塾の仕事を始めてみると、校舎を運営するための経営やマネジメントの部分は加わりましたが、目の前のお客様の悩みを聞いて提案するということは、販売と同じだということに気づきました。例えば生徒との進路面談では、どんな学校に行きたいのかをじっくり聞いて、それを実現するための勉強法やカリキュラムを提案します。それは、お客様のニーズを聞いて、それに合った商品を提案する販売のプロセスと同じです。他にも、他社との差別化を図るための重要な要素は、人だという部分も共通しています。講師陣、そして生徒のサポートをするスタッフにどんな人がいるのかということは、塾の付加価値になるからです。チームで仕事をすることも、同じです。全員で生徒を育てようということは、お店にいらしたお客様にお店の皆でおもてなしをするということと同じです。それに、ファンを増やして長期的にお客様とお付き合いをするという部分も、似ているんです。塾ではよい塾だと思っていただけたら、兄弟も通ってくださったりしますし、長くお付き合いすることも多かったです。ざっと挙げただけでも、これだけの共通点があったので、売るものが違うだけで、案外違いを感じることはありませんでした。見えてきた自分なりのマネジメント一方で、販売と異なることとしては、マネジメントの部分が加わったことです。社員以外に運営のスタッフとして塾の卒業生をアルバイトで雇用していました。私はチームで成果を上げるため、自分なりの組織づくりやスタッフの育成など、そこで初めて経験させていただきました。 マネジメントに携わるようになって、見えてきたのは、自分はマンパワーで引っ張るのではなく、周りを活かしていくタイプだということです。元々、自分ではリーダーになるタイプと思っていませんでした。それに人の上に立って厳しいことを言うタイプでもないと思っていましたから、マネジメントする立場になったときには、自分がここで変わらなければと思いました。そこで、メンバーの成長を一番に考えたとき、私はスタッフの個々の能力を引き出し、良いところを活かしてもらえるようなマネジメントをしようと決めたんです。 そしてもうひとつ、「目的を大切にしたい」と考えていました。塾の方針でもあったのですが、受験に合格することを目的にするのではなく、志や夢があって、そのために大学に行くんだという、夢を育む取り組みに力を入れていました。自分がありたい姿を持ってほしいと思っていたからです。これは、今の人事の仕事にも通じていて、販売員の皆さんがどんな販売員になりたいのかということに合わせて、そのために何ができるのか自律的に考えていただくことを大切にして、キャリア形成のサポートをするようにしています。文/構成/編集:馬場真由写真:清水洋延