人生をよりよくするためには、様々な要素が必要ですが、中でもお金の問題は重要です。やりたいことを実現するためにも、仕事のスキルアップにも、そして長く豊かに人生を送るためにも!自分の人生を考える際のお金との向き合い方について佐佐木先生にお伺いしました。あなたは、これからやってみたいと思っていることや夢はありますか?将来、どのような生活をしたいと思っていますか?自分が望む人生を歩みたいなら、お金と向き合うことは欠かせません。まして、「人生100年時代」といわれ、人生が長期化していく中で、将来について不安を感じている人も多いのではないでしょうか。 2024年1月からスタートした新NISAが話題となりましたが、お金を殖やすために、時間を味方につけて資産運用を始めることもひとつのやり方です。「投資は苦手」という人は、コツコツと貯蓄するのもよいでしょう。 マネーリテラシーを高めることは、たしかに大切です。それ以上に私が大事だと考えているのは、生涯にわたって収入を得られるスキルや仕事を持つこと。定年後も働き続けるのは、もはや当たり前の時代になりつつあります。貯金がいくらあったとしても、いつまで生きるか分からない以上、「足りないのでは?」「もっと貯めなくては!」と焦りや不安を拭い去ることは、なかなかできませんよね? ならば、稼ぎ力を身に着けて、ストック(貯金や資産)だけに頼るよりもフロー型へシフトする。そんな風に、発想転換した方がよほど現実的です。 稼ぎ力を磨き続けることで、生活にも張り合いが持てますし、社会とのつながりを保ち続けることができます。無理なく働くことは、健康面においてもプラスに作用すると言われています。変化の激しい時代において、会社員として働いていても、スキルアップは欠かせません。新しい役割や仕事に就くために、「学び直し」について積極的に考えてみてはいかがでしょうか。学び直しにはお金がかかる、と思われるかもしれませんが、オンライン上で無料で受講できるプログラムなどもあります(世界中の多くの大学と協力し大学のコースのいくつかを無償でオンライン上に提供しているCoursera(コーセラ)など有名)。 あるいは、「教育訓練給付金」といった公的な制度を活用する方法もあります。給付金の対象となる教育訓練は、そのレベル等に応じて、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があり、受講後に一定の要件を満たすと給付金が後から支給される仕組みです。厚生労働省のサイト(検索システム)から、さまざまな講座やスクールを検索することができるので、「何から始めたらいいかわからない」という方は、試しにチェックしてみてはいかがでしょうか。 将来の年金額を把握しておこうお金と向き合う上で、自分が将来どのくらい年金を受け取れるか、早いうちから認識しておくことは大切です。「老後が不安で……」という声はよく耳にしますが、自分の年金見込額を把握している人は、実はそう多くありません。 公的年金の加入者には、毎月誕生月にハガキか封書で「ねんきん定期便」が送られます。50歳未満の場合、記載されている見込額は「これまでの保険料納付額」をもとに試算されたもの。「こんなに少ないの⁉」と驚かれるかもしれませんが、今後働き続けることで、実際の年金額はもっと増えていきます。 一方、50歳以上の場合は、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して年金見込額が記載されています。とはいえ、これらはかなりざっくりとしたもの。 そこでおすすめしたいのは、日本年金機構のウェブサイト「ねんきんネット」を利用する方法です。ここでは、働き方や給与見込額、受給開始年齢など条件を自由に設定して、見込額を試算することができます。かなりリアルな数字が見えてくるため、これからの働き方を考えるうえでも大いに参考になるはず。まだやったことがないという方は、ぜひ試してみてください。 働き方と年金は、実はとても深い関係があります。そうした基礎知識をおさえ、事前に備えておくことは、自分の身を守るうえで大事になります。 次回は、多様化する働き方の選択肢と年金・お金との関係についてお伝えします。 文:佐佐木 由美子(社会保険労務士)グレース・パートナーズ株式会社代表。中小・ベンチャー企業を中心に、多様な働き方に関するコンサルティング等をはじめ就業規則や人事労務・社会保険面から経営を支援。女性の雇用問題にも積極的に取り組んでいる。ダイヤモンド・オンライン等の経済メディアに働き方やキャリア等に関する寄稿多数。ブログ「ワークスタイル・ナビ」では女性のライフ&ワークスタイル等について随時更新。■グレース・パートナーズ株式会社:https://gracepartners.jp/■佐佐木由美子のワークスタイル・ナビ:https://www.workstyle-blog.jp/