「店舗勤務は、 ストレスが溜まりやすい職場」と言われます。それはやはり、同じメンバーと長時間、狭い空間で顔を合わせるという環境が主な原因でしょう。 しかし、もっとストレスフルな職場があります。それはマグロ漁船です。 かつて私が乗せられたマグロ漁船は、1航海が約40日でした。 その間は、コンビニにも行けません。具合が悪くなっても病院にも行けません。 電波が通じなかったので、携帯電話も使えません。そんな環境で、同じ9人がずっと顔を合わせて働くのです。 普通に考えれば、そんな職場、絶対に働きたくないですよね?しかし、私が乗せられたこの船のメンバーは、とても仲良く働き、かつ、高い売上も上げていました。 このコラムでは、同じ人たちとずっと顔を合わせることの多い店舗で働いている皆様が、今まで以上に楽しく働けて、かつ、売上も上がる秘訣を教えます。 ひとりひとりが輝く場を創りましょう 1人1人が充実感を持って働くためには、それぞれの人が活躍できる場所が必要です。 マグロ漁船を例に取りましょう。例えば、Aさんという、ベテラン漁師がいます。この人はマグロをさばくのが上手です。 しかし、気が短いのですぐに怒鳴るため、教え方がヘタです。 ただ、そうした欠点をカバーする、Bさんという漁師がいます。この人は、マグロをさばくスキルは普通レベルです。でも、性格が優しいです。 なので、腕のいいベテランに怒られ、シュンとしている若手に対し、「大丈夫だから」と元気づける役割があります。 また、Cさんという新人漁師もいます。彼は新人だけに、まだ力が弱いです。そのため、重いマグロを持つと、たまに落としてしまい、商品価値を傷つけてしまいます。でも彼は、力が弱い分、細身なため高所作業が一番上手です。 このように、一人一人にヒーロー戦隊モノのような個性があるのです。 あなたの職場でも、同じように「この作業はこの人がうまい!」というような一人一芸の特色をつけて欲しいのです。「うちの職場ではそんなキャラ分けはできない」と思うのは間違い さあ、ここまでの話を読むと、「理屈の上では、確かに1人1人のキャラが分かれていればいいよね。でも、うちの職場ではそうしたような特色はないんだよね」 と、感じるかもしれません。しかしそれは間違いです。確実に一人一人に特色があります。 では、なぜあなたの職場では、キャラが生きるような職場にできないのでしょうか? それはお互い、相手のミスを探すのに夢中になっているからです。 そうなると当然人の良さには気づけません。 日本人は真面目です。「お客様に迷惑をかけてはいけない!」というのが第1主義になりがちです。 そうなると、「ミスをゼロにしなければ!」という思いが強くなります。 これは言い方を変えると減点主義な考え方です。 そうした職場はお互いに、「監視されている……」と感じたり、批判しあってしまうことで、職場の雰囲気は悪くなります。 相手のいいところを見て、感謝し合いましょう。 「お客様に迷惑をかけない!」というのは確かに大事です。しかし、減点主義になることはやめましょう。 それよりもお互いのいいところに目を向け、感謝し合えるようになりましょう。そうすれば、一人一芸を見出せる職場となるのです。 具体例で説明します。 ケーキ屋さんの場合、例えばAさんはケーキの知識が豊富。Bさんはクレーム対応が上手。Cさんはケーキの梱包がとても早くて丁寧。Dさんは電気系統のトラブルに強い。 Eさんは明るくて、職場の環境を明るくするのが得意。 Eさんは優しい声で、お年寄りのお客様から人気がある。 このように、お互いの特長を認め合い、感謝しあえれば、同じ店舗で働くメンバーが、仲間や味方のように感じられるのです。まとめ 悪い所を見つけるのがいけない事ではありません。良いお店を作るにはミスは減らしていくべきでしょう。 しかし、それ以上に優先すべきなのは加点主義です。 一緒に働く仲間たちのいいところを見つけ、「上手ですね!」と褒めたり、または、「助けてくださりありがとうございます」とお礼を伝えましょう。 それによって一人一人が、「自分はこのお店に必要な人間なんだ」と感じられれば、働くみなさんにとって、とてもいい職場になるでしょう。文:齊藤正明(株式会社ネクストスタンダード 代表取締役社長)北里大学卒業後、バイオ系企業の研究部門には俗されるも、所長の理不尽な命令によりマグロ船に乗せられる。しかし以外にも、狭いからこそ仲良く助け合う漁師たちの姿に感銘を受ける。帰港後、両支流のコミュニケーションを社内に取り入れた結果、社風改善に成功する。2007年に人材コンサルタントとして起業し、マグロ船式の人材育成で企業の業績向上に貢献。年間200回以上の講演や人材育成の指導で全国を飛び回っている。■株式会社ネクストスタンダード http://www.nextstandard.jp/