あのリーダーはなぜスタッフを成長させられるのか。 あるリーダーのエピソードです。 スタッフとの会話も短い。ミーティングもすぐに終わる。1on1も長すぎず。そのようなリーダーのもとでスタッフが成長している。ときには、急成長するスタッフもいて、見ていてうらやましい。そのリーダーのところには、優秀なスタッフが集まっているだけ、と言っている人もいる。しかし、本当だろうか。 実際に調べたことがあります。なぜ短い時間しかスタッフと接していないのに、スタッフは成長してしまうのか。本当に疑問だったのです。 調べてわかったことは、本当に会話が少なかったこと。どこかに隠れてじっくり話していると思っていました。長い時間かけて話しをしなければ、スタッフには伝わらないと思っていましたから。でも、そのリーダーは違ったのです。 では、実際に何を話していたのでしょうか。短いながらも、何かしているのではないかと思っていたので、探ってみたのです。 なるほど、やはり、ポイントがありました。それは、・『もっとも響く言葉』を選んでいるのです。しかも、スタッフごとにちがう言葉を投げかけていました。 人は、投げかけられる言葉によって反応します。条件反射的に反応するといっても言い過ぎではありません。そのため、特定の言葉をかけられるとその人は・目標を追いかけたくなる・やる気が増える・スピードが上がるのです。 しかし、反応する言葉は人それぞれ限られています。狭いのです。そのリーダーは、言葉の選択が得意だったわけです。毎日、それぞれのスタッフに・『刺激』になる言葉を短く投げかけていただけなのです。 なんだ、スタッフとの会話は短くてもいいんだ。この事象から、そう感じて発想を転換しました。接し方を根本から変えたのです。時間をかけない接し方でも、スタッフが成長する手法を試し始めました。 あるスタッフには最初、響く言葉が見つからず、スルーされることが続きました。たとえば、・『売上目標は達成すると楽しいよね』と伝えてみました。刺激になるといいなと思ったのですが、なんの反応もなく撃沈。次の日には、・『この製品をひとりでも多く届けたいね』と言ったら、目を輝かせて「はい」と返事をもらいました。響いたのです。最初はなぜ響いたのか分かりませんでした。後から聞いてわかったことなのですが、「他の製品をお客様が買うくらいなら、うちの製品を買ってほしい、と本気で思うんです」と教えてくれたのです。 ようするに、売上目標という単語には響かないのですが、『自分たちの製品を1人でも多くの人に届ける』ことには、大きな喜びを感じるタイプだったのです。 そうか。人はそうやって反応するんだ、とわかった瞬間です。 ただ、この言葉は1人しか通用しませんでした。他のスタッフは別の感覚の持ち主だからです。そこで、「刺激ポイント」を探ることにしたのです。刺激ポイントの探求です。 スタッフごとの響く言葉はこんな感じで落ち着きました。・『トップになれるよ』・『お客様の記憶に残る人になろう』・『名を残す人になりたくないか』・『全力を出し切る方が気分がいいね』・『仕事するカッコよさを追求してみないか』といった言葉だったのです。 その後、スタッフとの接し方は◆「刺激になるひと言」×「回数」にしました。この手法だと、時間がかからないのにスタッフの自覚が向上するのです。スタッフのひとりが急激な成長をするようになると、他のスタッフもそこに連動して成長のスピードが上がっていきます。 スタッフの成長が遅いときは、「接触回数」を意図して増やすだけ。時間はかけないが、回数を重ねることを意識するだけなのです。 これが「成長をうながす戦略」です。・「個別の刺激」×「継続的な接触」になります。たとえ10秒の会話でも、「刺激になる言葉」+「繰り返し」 があれば、心は動く。ここを外さなければ、スタッフの成長を引き出せます。ぜひ試してください。文:藤原毅芳(経営コンサルタント/一般社団法人暮らし振興支援機構理事)著書8冊 https://fujiwaratakeyoshi.jp/鎌倉在住(2014年より信州との2拠点生活)住宅営業から経営コンサルティング会社へ転身その後経営コンサルタントとして独立。「この世に残るべき企業を支援する」を理念にfjコンサルタンツを主宰。業種を問わない経営コンサルタントとして60以上の業種をコンサルティングし、現在は全国の活発な経営者を支援している。また社外取締役として数社の経営の現場にも直接携わっている。『組織生産性を向上させる組織戦略』については高い評価を得ており創業50年100年といった歴史ある企業においても、過去最高の実績を実現している。