前回、第1回目はファンを増やす心理学として、主にメラビアンの法則からお客様に好かれる為の心理学的なテクニックをお伝えしました。 第2回目は、「お客様の脳を買う気にさせる!」です。 お客様は、お客様それぞれで商品購入に至るプロセスや動機が違ってきますよね。商品を購入するにあたって、違う価値観があったり、目のつけどころやポイントが異なるのも興味深いところでもあります。この違いを理解し、それに応じた対応ができれば、さらに売上向上に繋がることでしょう。この違いはどこから来るのか?人は優位に働く脳に違いがあります。理性的な働きをする左脳が優位に働く左脳派の人もいれば、感情を司る右脳が強く働く傾向がある右脳派の人もいます。一昔前までは、左脳派を男性脳、右脳派を女性脳と言ったりもしました。しかし、近年では、女性も男性と同じように肩を並べて社会進出しており、また女性らしさが強さとなる時代と言われる事もしばしば。そう考えると左脳派、右脳派を性別で分ける垣根は薄れてきている傾向にあるかと思います。理性的に働く左脳派とは一般的に事実に基づいて客観的に話し、言葉が短く、要点を押さえており、何を望んでいるのかがわかりやすいという特徴があります。それに対し感性豊かな右脳派はプロセスを重視し、イメージが豊富で、ストーリーを描くのが得意です。さてこの2つの脳の特色を知った今、お客様と会話を重ねていく時に、お客様がどちらのタイプかを把握して商品説明等変えた方がいいのは、一目瞭然ですね。それでは、実際に販売の現場において、この2つの脳をそれぞれ刺激するには、どのように接客すればよいでしょうか? 販売の現場での左脳派と右脳派の違いまず、左脳派は全体を把握し、類似品と比較したがる傾向が見られます。ですから、左脳派と思われるお客様には、結論を先に、そしてシンプルに知らせる事が大切です。ここでいう結論とは商品の特徴、機能、大きさ、金額、その商品を購入することによって見出される解決策等で、数字や客観的なデーターをはっきり伝えることに意味があります。また、「最新式」、「プロ仕様」等の競争意識を掻き立てるような言葉も使うと響きます。衝動買いをすることもあまりなく、商品を手にとって触らなくても、判断できる傾向にあります。一方、右脳派は共感を得る事が好きで、左脳派に比べると直感で商品を購入することも多いのです。右脳派は商品についての細かい詳細を重視するのでなく、その商品から感じ取るなんとなくの雰囲気、楽しくお買い物をする事に重点をおきます。テレビドラマの展開も、左脳派より右脳派の方がストーリーをよくつかんでいる印象があります。右脳派はその商品を部屋に飾ったり、並べたり、自分が身につけたりしている姿等をイメージするのが得意なのです。また、左脳派と違い、右脳派は感性豊かなので、五感に訴えかけるのは効果的です。商品の説明に「ふわふわ」「ボリュームのある」「素肌感覚のさわり心地」等、五感を刺激する言葉も使うのも、伝わりやすいです。店舗でのお買い物の際には、触覚に訴えかけるのは最も効果的でしょう。触覚を活用するには、お客様に実際に商品を手にとって触ってもらうのです。特に右脳派は触ることで、愛情を感じ楽しくなります。バッグの販売を例に考えてみましょう。左脳派は購入にあたって、まずはじめにバッグに入る容量はどれくらいか、全体的な大きさと重さ、素材に目が行くでしょう。そして書類、定期、お財布、スマホ等を入れるポケットや仕切りがどのようになっており、使い勝手が良いかとコスパがポイントとなるでしょう。右脳派は、バッグのデザイン、色、ブランド等が自分の好みに合えば、左脳派のようにそこまでバッグの詳細にこだわりはないのです。五感の刺激については、上記に言及したとおり、右脳派の心を動かすのにとても効果的ですが、両派共にやはり商品を触るとその商品の所有意識を抱き、購入する可能性が高まります。また、ジュエリーショップ等ではお客様に座って頂き、商品を何点か目の前にお出しするという事もありますが、店内でお客様にお座り頂く椅子も、柔らかいソファと木の硬い椅子か、この時お出しするお飲み物も温かいか冷たいかで購入率が違ってきます。人は柔らかく、温かい事で心地よくなり和むので、その事が購入にも繋がったりするのです。(真夏の場合は1杯目は冷たい物、2杯目は温かいものと変えて見ましょう。) 効果的な立ち位置最後に効果的な立ち位置についてお伝えします。日頃、お客様に接客する時、お客様から見てどの位置にいるか意識していますか?これは会議等の座り位置にも使えるテクニックですが、真正面からの接客は緊張感が生まれ、対立関係が生まれる可能性のある位置になりお勧めしません。カウンターでお客様カードを記入して頂く際等にも真正面を避けて、カウンターを挟んでL字型になると、対立関係が生まれず、協力関係を築きやすいとされる位置ですのでお勧めです。店内で二言、三言、お客様に話かける時もお客様の左側からよりも右側から話しかけるほうがお客様から受け入れられやすいとの実験結果もあります。 今日お伝えした左脳派と右脳派の違いを意識しておくと、匿名の口コミも左脳派、右脳派のどちらかが書いたものなのかがわかってくるので、面白いです。 是非、ご自分の販売している商品を当てはめて考え、店舗で実践してみて下さい! 文:村木まみ氏(LABプロファイル(R)コンサルタント/販売心理学コンサルタント)Success Strategies(カナダ)認定 LAB Profile® コンサルタント&トレーナー日本NLP協会認定 NLPプロフェッショナルセールス トレーナー NLPコーチング協会認定 マネークリニック トレーナー幼少の時期から洋画のアクション、コメディー映画が大好きで、90年代後半に渡米。大学では経済を勉強したいと考えていたが、既にアメリカでは沢山の実験や統計に基づき、幅広い分野の心理学が存在し、心理学先進国だということを知り、ソーシャルサイエンス学部で様々な分野の心理学を学ぶ。卒業後日本へ帰国し、もともと株取引に興味があった事から金融機関へ就職する。日本で大手外資系金融機関BNPパリバ証券会社、ドイツ証券会社を経て、オーストラリアのドイツ銀行シドニー支店で勤務し、デリバティブ取引に従事した。金融機関在職中にもビジネス、人間関係において心理学の大切さを痛感し、退職後は心理学を1から学び直す。ビジネス、プライベートの両面において効果的な言葉と行動の関係性を分析し、相手に合わせた会話や文章を構築するLABプロファイル®という手法と商品やサービスをお客様に提供する為に経営者・起業家にも必要な販売心理学を主とし、コンサルタント&トレーナーとして活動中。