ウクライナ戦争で世界各国の物価が上がり、それにより1ドル=140円台の円安になったと考えることはできる。ウクライナ戦争→ロシアとウクライナが世界に輸出している小麦、トウモロコシ、ひまわり油が値上がり、ロシア制裁で天然ガス、原 油が値上がり→世界で物価が高騰→それを抑えるために欧米の中央銀行が金利を上げる→日本は低金利を維持して欧米との金利差が生まれ、金利の高い通貨へお金が流れて→1ドル=140円台の円安という説明だ。 これをみて「風が吹けば桶屋が儲かる」といことわざを思い出すかも知れない。「風が吹く」と「桶屋が儲かる」には直接的な因果関係はないものの結果的にこういうことも起こり得るという話だ。中学校の社会(公民)で「需要(商品を買おうとすること)と供給(商品を市場に出すこと)で価格が決まる」と習ったが、市場経済はそれほど単純に動いてはくれない。 株価は「この会社に投資すれば儲かる」と思う人が多ければ上がり、「株価が下がりそうだ」と思う人が多ければ下がる。これは必ずしもその会社の業績(売上や利益)などと連動するわけでもなく、一見何の理由もなく上がったり下がったりする時もある。特に円やドル、ユーロといった為替相場は「どちらが強いか」を判断して売買されるもので、売り買いする人達(システム)はいろいろな観点から優劣を考えているので、「日米の金利差」 はその要因の一つに過ぎない。 しかし、グローバルに経済がつながっている現在では、為替相場の影響を受けない人はほとんどいないため大変だ。国内で生産されている農産物でも肥料からエネルギー、輸送まで考えれば海外とのつながりは必ずあり、多かれ少なかれ影響を受けている。円安はドルを使っている人からすれば円で買うものはセール価格となるため、コロナ前のように外国人観光客が来るようになれば彼らがどんどん買ってくれるかも知れない。 今年の春は日本が世界で一番iPhoneの安い国だったが、先日発売された新型のiPhone14は一番安い機種でも10万円を突破するなど、海外製品は値上がりしている。また、コロナ対策として各国政府がばらまいた巨額のお金は株高、ビットコイン高、住宅高騰などの(コロナ)バブルを生み、それらで儲かった人が高額商品を買ってくれていたが、 株もビットコインも住宅も下落(コロナバブルの崩壊)が始まっており、高額商品の買い手は減るかも知れない。 円安や株高などの経済の動きはプラスにもマイナスにも作用するが、店頭で実際に顧客と接している皆さんは、これからのお客様の変化を敏感に感じ取り、 それに対応してゆくことが大事だと考えている。 文:高島健一氏(新規事業コンサルタント/高島健一事務所代表)世界中、人が集まる場所に必ず足を運び、自分で買い、体験し、ヒット商品、成長事業を誰より早く探し出す異色の新事業コンサルタント。慶應義塾大学湘南キャンパスと全国の企業を結ぶインターネット研究会「コマース・アレー」、全国経営者の会「耳よりの会」主宰。最新の新商売、新製品、新技術、話題の新施設、新しい売り方などの情報を提供するセミナーは目がさめると大評判。