エルメスジャポン株式会社 横浜高島屋店山下真代さんプロフィール大学卒業後、みずほ銀行にて国際取引業務に従事。その後、2003年株式会社ルイ・ヴィトンに入社し、表参道店にて勤務。2008年からはエルメスジャポン株式会社へ入社し、伊勢丹新宿店、そごう千葉店、名古屋三越栄店、本社人事部、日本橋高島屋店を経て、横浜高島屋店にて現職。販売員として日々接客に邁進する傍ら、セールストレーナーとして後進の育成にも関わる。 コロナ禍での接客に思うこと。確かにお客様の興味や嗜好、行動は、コロナ禍とコロナ禍以前では、変わっているように思います。行動制限がある影響で家の中で使うアイテムが以前よりも売れたり、SNSやオンラインショップで商品を特定してご来店される方が増えたり。特に自分が本当に欲しいもの、良質なものを丁寧に使いたいという価値観に変わったお客様が多いように感じます。そうした価値観のお客様が、自分で商品の良さを感じて買いたいという思いでご来店いただいているんだと思います。 ご来店いただいたお客様には、入場制限をしているときもあり、お待たせしてしまうなどご迷惑をおかけしていることも多いのですが、逆におひとりおひとりとしっかり向きあって、対応させていただけているという面もあるように思います。 何より大切なのは、目の前のお客様と向き合うこと。お客様とお話ししていると私たちを気遣う言葉をかけていただいたり、新しくはじめたことについてお話ししてくださったり、こんな時期だから意識してか前向きな話をたくさんしてくださいます。そうした時間を共有することで、お客様との関係性は今まで以上に深くなっています。お客様の価値観などに変化はありますが、目の前の方に良いご提案をするということは変わりませんし、価値観が変わってきているからこそ、しっかりと向き合うことが本当に大切なんだと改めて実感しています。 いまのような状況を考えると、やはり気軽にご来店くださいとは言いづらく、悩んだこともありました。でも、そんな中で私たちができることとしては、目の前にいらっしゃるお客様にこの時間を楽しい、来てよかったと思っていただくことかなと思っています。中にはお店に来たことで「心が晴れる」とおっしゃってくださる方もいて…。こういう状況ではありますが、お客様のことを気遣うということには、自然と気をつけて接客していると思います。 またすべてのお客様にそうした接客ができるよう、小さなことからではありますが、お店のスタッフとも「どういう接客をしたらいいのか」ということを考える時間を持つため、定期的にミーティングを行っています。スタッフの仕事へのモチベーションにしてもらえるよう、そして接客に工夫ができるように、お店で起きたいいことを共有したり、お客様からのお叱りもきちんと共有することで、よりよいご提案ができるような改善につなげています。 インタビュー・文:馬場真由香(フリーライター)写真:清水洋延(JASPA事務局)