販売員の「本音」インタビュー01河合優香さんiDA東京本社 国際業務統括本部 iDA オーストラリア(ワーキングホリデー)+iDA シンガポールプロフィール「Jill by JILL STUART 東急プラザ表参道原宿店」で「全国年間個人売上1位(個人予算達成率120%以上)」、さらに「Tiffany & Co. 新宿小田急店」でも「全国年間個人売上1位」「新作売上コンペティション1位」を達成した“接客販売のプロ”。小学5年生から高校3年生までアメリカで生活したけれど、飛行機は大の苦手。 寡黙なお客様が集まる高級ブランドで磨かれた“観察眼”「Tiffany & Co.」に来るお客様って、基本的にもの静かなんです。なので、お店の中もシーンとしているんですけど、私は、あの「間」がとても苦手で、ウズウズしちゃうんです(笑)。お客様に「どうやって話しかけようか」って考えるんです。「Jill by JILL STUART」の時は、10秒ルールと言うのがあって、お客様が来店されて10秒以内にお声がけするんです。と言っても、「いらっしゃいませ」ぐらいに留めておいて、お客様に嫌がられないように、改めて話しかけるタイミングを工夫していました。でも、ティファニーでは皆様、じっとショーケースをご覧になっているので、積極的に話しかけて提案するというより、お客様に気づかれないように鏡越しに観察して、推理して「今日はネックレスをお探しですか?」とか、ゆっくりとお声がけをしていく感じでしたね。それで、お客様から「実は今日の靴がね…」とか話しかけていただいた時には、急いでショーケースを回り込んでお客様の横に行って、お足元を拝見させていただいて「いつも、このようなコーディネートをお好みですか?」とか確認させていただいた上で、「じゃぁ、こちらはいかがでしょう」とか。やっぱり、お洋服とか、アクセサリーって、お客様の人生に寄り添う品物じゃないですか。そう思うと、提案する時には手を抜けないですよね。私、決まった組み合わせを押し付けるような販売の仕方には興味がないんです。「ああ、この人はどういう方なのかな?」ということを推理しながら、その方に本当に似合うもの、気に入っていただけるものを、“自分のお店じゃなくてもいいから”ベストな買い物をしていただきたいと思って、お話しさせていただくようにしてきました。でも、そうやってお客様のことを深く考えて提案するのって、すっごく頭を使うんですよ。だから、あの頃はお昼寝しないと無理でしたね。脳みそが続かなかったです(笑)。 驚くほど違った、アメリカと日本の「接客」の差日本って、全体の道徳心は高いと思うんですけど、ちょっと冷たい感じもするんです。お店でも、マニュアル通りの接客をされることが多くて。アメリカって、「接客」がすごくカジュアルなんですよ。「はーい、どうなの? あなたは、どんなのが欲しいの?」っていう感じで。悩んだり、困っている様子があったら、とても気軽に声を掛けてきてくれるんです。ああいう感じが、とても好きなんです。日本のお店でも、もっとお客様とカジュアルにお話できるといいと思うんですよね。それに、一種独特な「壁」もあるんですよ。(つづく)取材・文・撮影佐藤秀治(お客様を動かす「共感づくり」の専門家)日本IBM、電通ワンダーマンを経て、現在、(株)プラップル代表取締役。コピーライターとして、企業のブランド育成やお客様事例制作に携わってきた経験から、お客様を動かす「共感づくり」をサポートし、事業や個人の成績向上を達成につなげるコンサルティングを行う。 ≫日本の販売員に共通する「壁」とは?