コロナ渦でオンライン化が進み、昨今では接客においてもオンラインを導入されている企業も増えていることと思います。そこで今回は店舗およびオンラインでの接客時に気を付けたい声の出し方・コミュニケーション法についてご紹介します。 好感がもてる声の出し方人は情報を受け止める際に、実は無意識の中で「五感」を使っています。情報は「見て(視覚)、聞いて(聴覚)、感じて(触覚)受け取る」という流れです。オンラインの場合、特性として画面上の視野が狭いため、相手の状況が分かりづらいなど視覚的要素が不足しています。そこで「聴覚的要素」である音声、つまり「声」や「話し方」でカバーすることが求められます。 まず、声の印象を高めるためには、「笑声」(えごえ)をお勧めしています。つまり「笑顔の声」のことです。笑顔になると口角も上がり、声を作る声帯も引き上げられ、明るい声が出やすくなるのです。 接客に笑顔を意識されている方も多いと思いますが、笑顔のレベル(好感を持たれるレベル)は意外に自分が思っている程、お客様には伝わっていない場合があります。オンラインではカメラ機能で自分の表情も確認できるので、客観的に自分自身を見つめ直す手段として活用されるといいと思います。 理解しやすい伝え方とは次に伝え方ですが、商品の説明に関してあまり長い説明では、丁寧どころかかえってお客様が理解しずらい状況になってしまいます。「1 文に 1情報」を意識し、なるべく短文で伝えることで理解しやすくなります。 さらにキーワードを高く発音して伝えるなど、「強調」や「抑揚」による高低のリズムが加わることで、感情や熱意、共感が伝わります。 そして話す速度、テンポも大切な要素です。お客様の話すテンポに合わせることがポイントです。人はテンポが合うことで安心感が生まれ、さらには信頼をもてるようになります。普段、早口の方はマイペースになってしまっていることが多いので、特に意識されるといいでしょう。もし、「少し早口になってしまった」と感じられたときには、文と文をつなぐ際に「間」を空けて話すことでカバーできます。「間」は聞き手の理解を助ける時間にもなります。意識的に取ることをお勧めします。 クロージングはお客様の傾向に合わせて最後に、お客様がリピーターになるかどうかの決め手となる「クロージングの言葉」についてです。お客様の志向の傾向によって、お勧めする言葉が違ってきます。 志向の傾向には大きく分けて2つあります。「目的に意識が向きやすいタイプ」と「問題や問題を避けることに意識が向きやすいタイプ」です。会話の中でお客様が、どちらのタイプに当てはまるかを見極めることが大切です。 例えば、化粧品をお勧めする際に、目的に意識が向きやすいタイプ(もっと肌艶を出したい、綺麗に見せたい等)のお客様には、「肌が~のように変わる、維持できる、~のような肌を手に入れられる、達成できる」などが響く言葉となり、購入に繋がりやすくなります。一方で、問題や問題を避けることに意識が向きやすいタイプ(肌荒れを防ぎたい、シミを目立たないようにしたい等)のお客様には、「~を防ぐためにこちらをお使い下さい、~しないようにするためにも」という言葉が響きます。 このように言葉づかいには人の価値観が表れます。思い込みや勝手な解釈をせず、お客様の言葉の裏にある情報や意図をヒアリングすることが大切です。コロナ渦で、いかに個人のニーズや価値基準に合った商品をお勧めできるかが勝負の鍵になると思います。 文:牛窪万里子(㈱メリディアンプロモーション代表取締役/元NHKキャスター) NHKアナウンサーとして「おはよう日本」「首都圏ネットワーク」等に出演し、現在はラジオパーソナリティー、司会、講演・研修、執筆など多岐に渡る活動と合わせて、フリーアナウンサー事務所の代表取締役を務め、経験を活かしたコミュニケーション方法を指導している。また全米NLP協会公認公式認定資格、日本NLP協会公認公式認定資格、LABプロファイル(R)プラクティショナーを取得し、脳の働きや言葉と行動の分析から、より良質なコミュニケーションをするための指導も行っている。著書には『「見るだけ30分!!あなたに合った「聞く」「話す」が自然にできる!」(すばる舎)、『初対面の相手も思わず本音をもらすアナウンサーの質問レシピ』(総合法令出版)、『仕事できる人は「声」が違う!』(すばる舎)