蓮田玉緒さん株式会社iDA パートナーコンサルタントプロフィール 旅行会社勤務、オーストリアでの海外留学を経てプラダジャパン株式会社に入社。販売員、店長を経験後、ルイ・ヴィトン ジャパン株式会社へ入社。店長経て、営業部門にて活躍。2019年に退職後、現在は株式会社iDAにてパートナーコンサルタントとして活躍中。今まで育成したスタッフは、一万人を超える。 すべてはお客様を知ることから始まる。そのために、販売員は常にフレッシュな情報をお客様との会話からキャッチアップする。プラダでは、百貨店内の店舗に配属されていました。百貨店にはいろんなお客様がいらっしゃっるのですが、自分のお店に用事がないお客様こそ、大事にしていました。他のブランドのお店までご案内して差し上げて、そのブランドの販売員さんにバトンタッチをしたりとか。でもそうしていると、やっぱりあなたのお店でお買い物したいわ、と帰ってきてくださるんですよね。 お客様がその場所にいらっしゃるということは、その場所を目指していらっしゃるということですよね。お客様の習慣の中に、足をお運びになる理由があるということ。なぜこの場所なのかからはじまり、この時間帯なのかなどまで会話を通して細かく知っていくことでお客様の生活スタイルに則した旬のニーズを知ることができます。その情報は、データーには表れないお客様の動向把握に役立ち、市場とズレのないブランド運営の方向づけをするための貴重な情報源になるんです。だからこそ、この場所にいらっしゃっているお客様は、すべて我々とつながりがあると考えて、行動する必要があるんだと思うんですよね。 そして、お客様の“なぜ”“どうして”をタイムリーに知り応えていくことができるのは唯一、現場の販売員です。日々、お客様とブランドをエンゲージしていくための入口に誇りを持って立って頂きたいですね。こういったことに注力できる販売員は、自分だからこそ拾える情報をお客様との共感ポイントとして活かしていくことができますし、それにより体験価値を高めていくことができ、結果、販売にも繋がり末永いエンゲージができるんですね。人の機微が分かる肌感覚こそが商売感であり、その積み重ねが人間力も高めると思っています。リテールの世界は理論や理屈だけで事をなそうとしても上手くいかないんですよ。(つづく)文:馬場真由香(JASPA事務局)写真:清水洋延(JASPA事務局)