在宅勤務や自宅待機になっている今だからこそ、普段はできないことに積極的に取り組んでみるのも、有意義が過ごし方ですよね。CheerUp!を運営する日本プロフェッショナル販売員協会(JASPA)で人気の「Art鑑賞ワークショップ」の講師を担当していただいているシャネル合同会社の中村美由紀さんに、お客様とのコミュニケーションにも役立つArtの見方についてお聞きしました。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ーー新型コロナウィルス感染拡大の影響で自宅待機が続く今だからこそ、Art鑑賞で教養を高めるチャンスです!そこで今回は以下の3点についてお伝えいたします。Art鑑賞を通じて教養と感性を高めることで、皆さまご自身が豊かな時間を過ごされ、そして、業務再開後のお客様とのコミュニケーションに活かしていただけますと幸いです。 今回の3つのポイント「Google Arts & Culture」で自宅から世界の美術館へロンドンと東京をつなぐゴッホの《ひまわり》「アートの見方」を身に付けるためのガイドブック 1.「Google Arts & Culture」で自宅から世界の美術館へ美術館に行けなくても、「Google Arts & Culture」では、世界各地の美術館の名画にアクセスすることができ、自宅で美術館巡りが可能です。https://artsandculture.google.com/ 「Google Arts & Culture」は、世界 80か国、2,000 以上の美術館や博物館、アートギャラリーの作品を掲載しており、通常は大行列の名画も高画質で鑑賞することができます。それでは、早速ロンドン・ナショナル・ギャラリーで 「フィンセント・ファン・ゴッホ (Vincent Willem van Gogh 1853年 - 1890年)《ひまわり》 1888年」 を観てみましょう。https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/vincent-van-gogh-sunflowers 実はこの作品、現在東京の国立西洋美術館に初来日しています。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、1824年に設立された西洋絵画に特化した世界屈指の美術館で、国立西洋美術館で開催されている(2020年5月15日現在休館中)「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」では、ルネサンスから後期印象派に至る同館所蔵の名品61点が全て日本初公開です。https://artexhibition.jp/london2020/ 2.ロンドンと東京をつなぐゴッホの《ひまわり》ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、ルーブル美術館やプラド美術館等、他の多くのヨーロッパの美術館とは違い、王室のコレクションを母体とせず、市民により市民のために形成されており、その幅広く質の高い「西洋絵画の教科書」ともいわれるコレクションは最大の特徴とされています。同館はまとまった数の作品を貸し出すことに慎重でしたが、今回200年近い歴史の中で初めて英国外、それも日本に、ルネサンスから19世紀ポスト印象派までの名品61点が上陸するという貴重な展覧会となっています。その中でも、ゴッホの《ひまわり》は格別な作品です。今回はこちらの作品を皆さまとともに観ていきたいと思います。 大きな花瓶に入ったひまわりの花の絵はあまりにも有名ですが、アルル(ゴッホがユートピアを実現しようと移り住んだ「黄色い家」のある南仏)滞在時に描かれた「ひまわり」は7枚の連作になっています。日本でゴッホの「ひまわり」といえば、1987年に、ロンドンのオークションで安田火災海上(現・損害保険ジャパン日本興亜)が58億円で落札した東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(5月28日からSOMPO美術館)が所蔵している作品もその7枚の内の一枚です。 ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《ひまわり》は1888年8月に作成された4枚目の「ひまわり」で、7枚の中でも非常にクオリティの高い作品と言われています。それは、アルル時代の「黄色い家」で一緒に過ごしたポール・ゴーガン(Eugène Henri Paul Gauguin 1848年 - 1903年)が絶賛したと言われていることからも明らかでしょう。この4枚目の「ひまわり」は、ゴッホが花瓶に入ったひまわりの花の実物を見ながら描いたため、他の作品よりもタッチにスピード感があるのが特徴と言われています。 ≫≫ 後編はコチラから! 文:中村美由紀 氏(シャネル合同会社 人事総務本部 人事部) 京都造形芸術大学(2020年4月1日より京都芸術大学へ名称変更)大学院芸術研究科 芸術環境専攻 修士課程を修了し、学芸員資格を取得。日本プロフェッショナル販売員協会(JASPA)の教養系プログラムでは、東京都美術館での『ゴッホとゴーギャン展』、三菱一号館美術館での『オルセーのナビ派展』等のアートツアーを企画、及びコーディネート。