新型コロナウィルスの影響もあり、今後は接客・販売の仕方も今までとは変わっていくことが予測されます。その中で注目されているのが、よりIT化を進めた接客のかたちです。そう聞くと、今までと大きく変わるのではと、不安になってしまうかもしれません。が、意外にもIT化は既に身近なシステムにも使われています。今回は、現在ITがファッションの世界でどのように活用されているのか、また今後はどんな活用のされ方をするのかなどをニュートラルポケット㈱の古田さんにお聞きしました。*************************************************************************************************Cheer Upをご覧の皆さん、はじめまして、ニューラルポケット株式会社の古田です。当社はAI(人工知能)の開発に取り組んでいる会社で、AIが皆さんの仕事にどう関係していくのか、少しだけこの場をお借りしてお話しさせていただければと思います。新型コロナウイルスの影響で、多くの方々が仕事や生活に大きな変化が起きています。こちらをご覧の皆さんも、いつもより自宅での時間の中で、今後の仕事について考えることもあろうかと思います。こちらで書かせていただいたことが、少しでも未来の仕事のヒントになれば幸いです。 皆さんはAI(人工知能)についてどんなイメージをお持ちでしょうか?AIで洋服の良さが分かるのか、とお考えの方も多くいらっしゃると思います。私も販売スタッフからスタートして、アパレルで15年ほど働きましたが、同じ意見でした。そもそも洋服に対する意見は、個人によって感性が異なるので当然です。ではAIで何が出来るのか?当社ではAIを、データを集めることに特化させています。その内容ですが、SNSやファッションサイトをもとに、世の中の方がどんな服装をしているのか、2,500万枚(1秒間に20枚程度)の画像をAIで分析して、データ化をしています。人間がやるには大変、いや不可能に近い数字です。今後のアパレル業界では、このようなAIなどが集めたデータを、人の感性とどうつなげるか、これが大きな課題になっていくと思います。当社のAIは、SNSやファッションサイトから人が写っている画像を見つけ、その人が何を着ているのか、解析してデータ化しています。この画像であれば、トップスはブラウスのブラック、パンツはベージュのスラックスなど、詳細な内容を1秒間に20枚程度のスピードで解析が可能です。データの活用というと、難しそうなイメージを持たれている方もいらっしゃると思いますが、実はそんなに難しくないのです。例えば、皆さんもご存じの通り、直近ではベージュやブラウンが大きな流行になっています。ではその流行って、どのくらい盛り上がったのか?実は、この内容を正確に説明できる人はほとんどいないと思います。全国民が何を着て外出しているか、分かる人がいないからです。当社ではあくまでもSNSやファッションサイトにおいてですが、この様にベージュやブラウンを着用されている方が、どのくらい増えたのか、数字で見ることが出来ます。販売のお仕事では、ベージュやブラウンが今どのくらい流行しているとはっきりわかれば、どうやって店頭の陳列で工夫しようか、または接客の時にどう紹介しようか、など具体的な動き方を皆さんの方で工夫すれば、必ず大きな成果を生めるのではないかと思っています。データは嘘をつきませんので、流行しているものの裏付けがあれば、自信をもって行動に移せる、これがデータ活用の一番活きる点だと思います。 現在の新型コロナの情勢下でも引き続きベージュ/ブラウンのトレンドは伸び続けています。 このように、みなさんの販売というお仕事に一見、直接関係ないと思われるAIの技術ですが、実は店舗でも重要な情報を得るのに活躍しており、そしてその情報を活用すれば現在のような普段と異なる状況でも、お客様に最新のトレンドを提供することができます。 ま新型コロナが落ち着き、皆さんがまた店頭でご活躍できるようになった時、自分の周りに意識を向けていただき、どんなところにAIが活用されているのか、ぜひ考えてみていただきたいと思います。そうした目線や情報が、きっとお客様への接客にお役に立てていただけるのではないかと思います。それまではどうぞ、くれぐれもご自愛ください。 文:古田 裕介氏(ニューラルポケット株式会社)アパレル企業での勤務歴15年。店長からスタートし、リテール営業からサプライチェーン認定や貿易実務まで多岐にわたる仕事に従事。アパレル業界の様々な問題を、多様なAI技術を通じて解決することを目指し2018年よりニューラルポケットに参画。