新型コロナウィルスの影響で、在宅勤務や自宅待機になっている方も多いと思います。その一環として、オンラインでのミーティングや会議を行う機会もかなり増えているのではないでしょうか。システム等の進化でオンラインでも対面など通常とかなり近い状態でのミーティングの実施が可能になったとはいえ、やはりオンラインならではの難しさがあるのも現実です。そこで、外資系システム会社で勤務し、オンラインでの会議やインタビュー経験豊富な佐藤さんに、オンラインでミーティングをする際のポイントをお聴きしました。*************************************************************************************************新型コロナによって自粛要請が続く中、一気に浸透してきたのがZOOMやLINEのグループビデオ通話などを使った”オンライン・コミュニケーション”です。パソコンやスマートフォン、タブレットについているカメラを使って、お互いの顔を映しながら沢山の人といっぺんに話すことができるため、非常に便利です。 オンライン・コミュニケーションを初めて体験した、という人からも「意外と楽しい」「違和感なく、普通に話せるね」なんていう声が聞こえるほど、便利で楽しいツールです。 でも、直接会ってお話するのと比べれば、ちょっと物足りないのも事実です。人間って、何気ない表情や仕草から、かなり多くの情報を読み取っているんですよね。実際に相対していると、いろんな気持ちが伝わってくるように思えるのですが、オンライン・コミュニケーションで伝わってくる情報は、結構少ないんです。映像は小さめで、画質も少し粗いし、部屋の明かりだって、カメラで撮影するには少し足りないために、顔色も暗く映りがちです。だから、YouTuberの方々はちゃんと部屋の中で照明機材を使っていたりするんですよ。 まぁ、照明のことはさておき、「相手の人から受け取れる情報量が少ない」ということが一番の問題点。 仕事の会議をZOOMで行うと、「自分の話がちゃんと伝わっているのかどうかもどかしい」と思うことがありませんか? あるいは、誰かの発表を聞いている時も「資料のどこを読んで話しているのか分からない…」と戸惑ってしまうことがありますよね。 私も、何年も前からSkypeや専用のビデオ会議システムなどを使って遠くにいるお客様にインタビュー取材することがあったのですが、やっぱり相手の温度感がつかめないので、打ち解けて話が弾むようになるまで、結構苦労した思い出があります。 あなたはいつも、相手の「どこ」を見て話していますか? ビデオ会議システムなどを使った遠隔取材で、私が特に違和感を覚えた一番のポイントは「お客様と目が合わない」ということでした。 画面の向こう側にいらっしゃる方々は、皆さん、「向こうの画面のどこかに映った」私の顔を見て話をされるために、私から見える画面では終始うつむいていたり、横の方を向いていたりしていらっしゃるんです。 これ、不安になりますよ。だって、誰も私の方を向いてくれないんですもの。本当は、向こうの画面に映っている私の方を見てくれているのに、カメラの向きと一致しないから、そっぽ向いているように見えるんです。 これは本当に良くないです。 たとえば皆さんが接客される時は、お客様のどこを見て話されていますか?きっと、「お客様の鼻の周り」に目線をおいていらっしゃいますよね?じっと目を見られると怖いけれど、自分の顔に対してごく自然に目線を向けてもらえていると、人間というのは心地よさを感じるものです。 オンラインでも、基本は一緒です。目線があらぬ方向に行っているのではなく、「自分の方に向いている」と感じられることが大事なんです。 じゃぁどうすればいいか? 答えは簡単です。 自分の顔が映っている画面の方に目を向けてください。画面の中の自分と目が合うような感じになると、相手からは「まっすぐ自分の方を見てくれている」ように見えますから。 と言っても、ずーっと自分の顔ばかりみているのも変なので、PC画面の真ん中あたりに目線を向けて、オンラインに参加している全員の顔が視認できるようにするといいでしょう。そして、自分が発言する時には、ちょっとだけカメラ目線を入れるのもいいでしょう。たとえば自撮りする時には、スマホのレンズを見た方が映りはいいですよね? 基本は、それと一緒です。 「現実の会議よりも、多くの人に見られている」と思ってください 次に解消すべき「違和感」が、”無表情”です。 オンラインで会議やイベントを行ったりすると、必ず”無表情”で画面を眺めている人がいます。「自分は、話を聴くだけだから…」「ほかに何人もいるから、見られてないでしょ…」と気を抜いているのか、”無表情”かつ”ノーリアクション”で、じーっと画面をにらんでいる人が必ずいます。 中にはまるで怒ったような顔や、つまらなそうな顔をしている人もいますが、そうした人の多くは「真剣に話を聴いていただけ」だったりします。単に「真顔が怖い人」ですね。 でも、あなたは、そこまで”油断した”表情を会社やお店でも見せていますか? きっと違うと思うんですよね。「自分の部屋にいる」と思って気が抜けちゃっていると、表情も気が抜けちゃうんです。 相手は、カメラを通じてあなたの表情を見ています。自分が、画面にどういう風に写っているのかを、ちゃんと意識しましょう。そのためにも、自分の映っている顔を見るのが大切なんです。 どうですか?カメラに写っている自分の顔を見たら、「笑顔の方がいいな」って思いますよね。 ピクリともせずに話を聴いているよりも、ちゃんとうなづいたり、「おー」とか「なるほど」とか相槌を(声には出さなくても)入れて口を動かしている方が、印象がいいですよね。 表情やリアクションを、いつもより、ほんのちょっとだけ余計に意識するといい感じになりますよ。 みんなが「違う環境にいる」ということを、常に忘れないでください ここまで「目線」と「表情」の2つの違和感を解消してきました。最後にもう1つ、「オンラインならではの気配り」を意識していただければ完璧です。それは、オンライン・コミュニケーションに参加している全員が「自分とは違う環境にいる」からこその気配りです。 たとえば、あなたは通信環境のいい光インターネットで、大きな画面のノートパソコンを使って会話しているかも知れませんが、相手の人は電波が不安定な場所でスマートフォンを使って参加しているかも知れません。 大事な話を始める前に、相手の人が外にいる時などは、「電波大丈夫そう?」などと声をかけてあげてください。 あなたのパソコンではみんなの映像も音声も問題なく通じていたかも知れませんが、(パソコンでもスマホでも、家でも外でも)相手の環境では、途中で音声が途切れていたかも知れません。 長々と自分の話を続けるのではなく、リアルな会議の時よりも少し短く話を区切って、「ここまでのところは大丈夫ですか?」と、確認してあげてください。話が少し長くなってしまった時などは特に、「もし途中で聴き取れなかった個所などあれば、教えてください」と、気遣ってあげてください。 あなたが会議資料を画面に映しながら話している時に、相手の人が同じ資料をちゃんと見ることができているかどうかは分かりません。中には、会議中に別のソフトを立ち上げているせいで、資料が隠れてしまっている人もいるかも知れません。 ちゃんと画面共有機能を使って資料を共有した上で、「まず、この2ページ目の3行目を見て欲しいのですが…」と、案内しながら話を進めるようにしてあげてください。 こうした気配りは、特に難しいものではありません。けれども、オンライン会議に慣れているような人でも、ついつい忘れてしまいがちな事柄なんです。 会社やお店で直接会って話していた時とは、ほんのちょっと違う気配りをすることで、オンライン・コミュニケーションの違和感は大きく減っていきます。 1.画面に映っている自分の方を見る。2.笑顔とリアクションを忘れない。3.リアルとは違う気配りを行う。 皆さんも、この3つをぜひ実践してみてください。きっと今まで以上に楽しくオンライン・コミュニケーションできるようになるはずですよ。 文:佐藤秀治(お客様を動かす「共感づくり」の専門家)日本IBM、電通ワンダーマンを経て、現在、(株)プラップル代表取締役。コピーライターとして、企業のブランド育成やお客様事例制作に携わってきた経験から、お客様を動かす「共感づくり」をサポート。徹底したヒアリングによる「コンセプトの深掘り」から「クリエイティブへの落とし込み」、顧客接点を最適化する「コミュニケーション設計」、そして社員個人の能力を高める「プレゼンテーション研修」という4つの柱でコンサルティング&サービスを提供しています。