コロナ禍を経て進んだオンライン接客のひとつとして、文字でのやりとり中心の接客も浸透してきました。このシリーズコラムでは、お客様に共感し、ご購入していただくための「書く接客」のヒントをお伝えしています。前回まで「会話のテンポ」、「共感を得るための書き方」について、ご紹介しました。第3回の今回は、「語彙力を磨く」ことで、お客様の心に響く言葉で接客ができるヒントをご紹介します。 お客様によって使っている言葉が違うという事実これは「『伝える』より『理解してもらう』のマインドで」にも関連する点なのですが、より多くの人に伝えるためには、多くの語彙が必要になります。 例えば、「コート」を想像してください。あなたはどんなコートを想像しましたか?昨年多く店頭に並んでいたショート丈のコートでしょうか?それともダウンコート?色はどんな色でしょうか。黒でしょうか、それともクリーム色でしょうか?もしかしたら、ピンクやブルーなどのカラフルなコートかもしれません。このようにコートという一つの言葉をチャットで見たとき、お客様がどんなコートを思い浮かべるかは、お客様により異なります。ですから、色やアイテムのかたちなどをよりお客様に正確にイメージしていただくためには、言い方のバリエーションを多く持っておくことが、とても大事です。 人は、そのひとそれぞれによく使う言葉があります。何かを伝えるとき、いつも自分が使っている言い方を相手がしているとは限りません。ひとつのことをよりお客様に理解いただけるようにお伝えするためには、そのお客様に合った言い方をする必要があります。その時に、語彙の多さが助けになるのです。 語彙の多さは、人柄も伝えられる!多くの語彙を持っていることは、文章での接客だけではなく、普段の対面の接客でも、もちろん重要なことです。ですが、目や耳、手(手触り)など様々な情報が一度に入ってくる対面接客と比べて、文章でやり取りする場合は、その文面だけに意識が集中するので、「何か違う」と感じやすい状況にあります。だからこそ、どんな言葉を使ってお客様とやりとりするのかが大事ですし、お客様に合わせて様々なお伝えの仕方を用意しておくことは、とても大切なことです。 そして、もう一つ語彙が多いとプラスになることがあります。それは、言葉の選び方によって、あなたの人柄も伝えられるという事です。例えば、同じスカーフの柄についてご紹介するにしても、「この柄が今人気です!」という言い方もできますし、「こちらのデザインは、お客様からとても評判がいいんですよ」というのでは、言葉から想像できる印象が変わります。他にも、「こちらの模様は、お好みになるお客様が多くいらっしゃいます」というと、また印象が変わりますね。このように、どんな言葉を使うかによって、あなたがどんな人なのかも、印象としてお伝えすることが可能なのです。 お客様からどのような印象を持たれたいのか、ということにも意識して語彙を増やし、選んで使ってみてください。さらに、お客様からの文章からも同じように、お客様の印象を感じ取ることができると思います。その印象に合わせて、自分の使う言葉を選んでいくというのも、ひとつの方法です。 さて、「書く接客」をより購入につなげるためのヒントを3回にわたり、ご紹介しました。どれも対面では当たり前にしていることですが、「書く」ということになった途端に忘れられてしまうポイントです。裏を返せば、いかに書く接客で対面接客の雰囲気を感じていただけるかが、購入への鍵とも言えます。ちょっとしたことではありますが、ぜひ活用して書く接客でも、お客様にお買い物の楽しみをご提供いただければと思います! 文:馬場真由(影響力コンサルタント)クライアント(企業・個人)のターゲットに対しての「影響力UP」により売上向上、組織力向上に寄与する傍ら、様々な業務経験から、組織をリブレイクさせるために、専門家を組織し、クライアントの問題を解決する外部プロデューサーとしての業務も行う影響力コンサルタント。また、「言葉のチカラ」を使った影響力UPのための文章基礎力UP講座や言葉で人を動かすスキルであるLABプロファイル(R)に関する講座を開講している。 【主な資格】カナダSuccess Strategies社認定 LABプロファイル®コンサルタント全米NLP協会 NLPプラクティショナー日本NLP協会 NLPプラクティショナー