コロナ禍を経て進んだオンライン接客のひとつとして、文字でのやりとり中心の接客も浸透してきました。このシリーズコラムでは、お客様に共感し、ご購入していただくための「書く接客」のヒントをお伝えしています。 前回は「会話のテンポ」について、ご紹介しました。第2回の今回は、「共感を得るための書き方」のヒントをご紹介します。 「書く接客」で大事なこととして、いかに「共感」を得るかということは、みなさん日々意識されていると思います。特に、昨今多くの企業が積極的に活用しているSNSでは、共感が得るために投稿を工夫する毎日ではないでしょうか。なぜなら、共感は商品の購入につながるとされているからです。 共感とは何だろう?共感が購入につながることは、様々なデータなどから証明されていることです。が、そもそも共感とは、何でしょうか?共感という言葉があまりに当たり前になったことで、そもそも共感とはどういう状態のことなのか、共感をすると人はどうなるのかということをきちんとわかっている人は、意外に少ないのではないかと思います。 共感という言葉を、辞書で確認してみましょう。他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること。同感。「―を覚える」「―を呼ぶ」→感情移入(広辞苑より)とあります。 ここで注目したいのは、理解することが共感に繋がっているということです。つまり、みなさんの投稿を見た人が、投稿の内容や意図を「理解してもらえる」投稿をしなければ、共感は得られないということなのです。 「伝える」より「理解してもらう」のマインドで共感を得る方法として、対面の接客では、手触りや試着も含めて試していただくことも可能ですが、文字のみでの接客では、そうもいきません。ビデオ通話などよりも制限が大きいので、いかに商品の特長や良さ、そしてお客様のニーズに合うかを文字だけでお伝えしなければいけません。その制限の中で、どう「わかった!」と思ってもらえるか、そして「私もそう感じる!(思う!)」と感じてもらえるか。そのヒントは、「伝える」ということと「伝わる」ことは、違うという事を、知っておくことにあります。 書いた文章から受け取れる情報量は、その人によって違います。また自分には当たり前のことでも、相手にとっては当たり前ではないこともあります。このことを頭において、文章を読んだ人がその内容を理解できる書き方ができたかどうかを常に考えながら、やり取りや投稿をすることが、とても大事です。 例えば、黄色いコートについてご説明する際、コートの写真をLINEやSNSに投稿していたとしても、お客様がその黄色をどんな黄色と捉えるのかは、決してあなたと同じではありません。ですから、この場合、「実際に見るとたまご色のような優しい色味です」とイメージしやすいように言葉を添えたり、「当ブランドの〇〇と同じ色味です」(お客様のワードローブ、以前の購入品を把握している場合)など、よりお客様の理解が深まるように、様々な角度からご説明することが大切です。 自分は伝えたから、きっと相手はわかってくれるはずだという考え方は、文章でのやりとりという制限の多い接客では、お客様の納得と共感を引き出すことは難しいのが現実です。書いた文章がお客様に理解されてはじめて、共感や納得に変わります。だからこそ、「理解してもらう」というマインドを持って、やりとりをすることがとても重要なのです。 もちろん、これもSNSの投稿だけではなく、お客様とのチャットでも同じです。あなたの書いた文章を理解するからこそ、「いいね!」が増えるのです。ですから、発信に共感する人を増やしたければ、書いた内容がより理解できる文章を心掛けることが、多くの共感を呼ぶ近道でもあるのです。 限られた「文字」という接客の方法ではありますが、重要なことは対面と同じです。それをどのようにして表現していくのかということが、書く接客から購入につなげるヒントになるのではないかと思います。ぜひ活用してみてください! 文:馬場真由(影響力コンサルタント)クライアント(企業・個人)のターゲットに対しての「影響力UP」により売上向上、組織力向上に寄与する傍ら、様々な業務経験から、組織をリブレイクさせるために、専門家を組織し、クライアントの問題を解決する外部プロデューサーとしての業務も行う影響力コンサルタント。また、「言葉のチカラ」を使った影響力UPのための文章基礎力UP講座や言葉で人を動かすスキルであるLABプロファイル(R)に関する講座を開講している。 【主な資格】カナダSuccess Strategies社認定 LABプロファイル®コンサルタント全米NLP協会 NLPプラクティショナー日本NLP協会 NLPプラクティショナー