株式会社ミキモト 人事部人材開発課 部長 市川美穂さん 市川美穂さんプロフィール1989年 株式会社ミキモト入社。営業企画部広報課(現・広報宣伝課)に配属。 本店営業部(銀座四丁目本店)で販売業務に従事した後、新設の部署であるカスタマーズサービスセンターにて 全社CS向上推進に約7年間取り組む。 その後、営業企画部にて店頭キャンペーンや顧客向け催事の企画・運営、2007年~2018年まで広報宣伝部にて広報宣伝課長、広報宣伝部長として、広報宣伝業務全般を担う。 2018年3月より人事部にて社員の教育研修全般の企画、運営を行う。 宝飾は文化。それを伝えられる販売員を育てていく。人事部の前は、広報宣伝部にいましたが、そのときに心掛けていたことがあります。そもそもミキモトには、宝飾品は文化であり、私たちはミキモトというブランドを通じて、お客様の生活の中に楽しさや喜び、夢を創造することが仕事だという会社の方向性があります。ですから、広報では、商品を宣伝するだけではなく、宝飾という文化や歴史を伝えていこうとしていました。 それは人事の仕事でも変わらないと思っていて、知識やスキルを身につける研修をやればいいということではなく、そこに私のキャリアの中で蓄積してきたブランドのヒストリーや宝飾というものについての考え方や価値というものを合わせて伝えていかなければいけないと改めて感じています。ですから、部署が変わってもそのことを共通項に日々業務にあたっています。 例えば実際に新入社員研修では、ジュエリーの歴史から話し、自分たちがどんなものを扱っているのかということを知ってもらうようにしています。それを理解した上で、ミキモトがどのように商品を作って販売しているのかということを学べるように工夫しています。若手のうちに真珠養殖や商品製作の現場の見学などもしますし、たくさんの情報をインプットするので、その時は覚えることに大変な思いをしているかもしれませんが、実際に接客や販売の場面でこうした研修が役に立っていると実感してもらえているようです。 お客様との直接的な関わりが、企業の成長につながる。販売職は、お客様と直接接することのできる職種ですよね。私も販売経験がありますが、お客様がどんなものに興味を持っているのか、どんなことに喜んでくださるのかということを実際に経験して、知っているか否かは、とても大きな違いだと感じます。 販売職以外の仕事では、お客様と直接関わることは、ほとんどありません。でも、商品に対する評価ひとつをとっても、お客様のダイレクトな反応を見られるなど、お客様と直接関わった経験は、いろいろなことの裏打ちになりますよね。販売職としての経験は、どんな職種にとっても、想像だけではない仕事をするための重要なものだと思っています。ですから、先輩販売員からお客様とのエピソードなどを共有してもらう機会を研修に取り入れるようにしています。やはり実際に接客すると、想像を超える体験というのがあるんですよね。若いうちはまだ接客経験がそれほど多くないので、そうしたことを直接先輩から聞くということは、接客の疑似体験にもなりますし、単純に販売って面白いと思ってもらうことができるのではないかと考えています。 文:馬場真由写真:清水洋延(JASPA事務局)